私に出来ること

私は声楽家です。

歌うことで人の気持ちに静かに寄り添うことを目指しています。

平和活動をするのは、広島に生まれ育ち、原爆ドームが日常にあり、ごく自然に平和への意識が芽生え、児童合唱団の一員として平和を伝える歌を歌って育ち、私の中に自然と根付いた意識があるから。

私は音楽を生業としているので、音楽を通じて平和を伝えるのは、ごく自然なこと。

ただ、その前に、やはり歌い手として成熟していることが前提なのです。伝え切る技量がないといけません。

舞台人として、技量と表現とのバランスを保てないのは致命的です。そのためにも基礎を今でも見直し、固めています。

基礎がしっかりしていれば、崩れませんから。

でも、今日は、辛かった。基礎云々が抜け落ちました。二度目です。

一度目は父が亡くなった時。

父が亡くなってすぐ、東京で本番があり、そして、ウィーンでコンサートをしなければならなくて、あの時は、全てが真っ白になりました。

今回は、直接私にかかることではないけれど、とても他人事とは思えないのです。痛みを共に出来たらと、せめてそれくらいは、と思うのです。

私に出来ることは、歌を通して祈ること。力の限り、陰ながら支えたいと思います。

きっと奇跡が起きる。それだけを祈っています。

他に何ができるだろう。探そうと思います。

父が亡くなる前、ありとあらゆることに祈りました。

でも、神様もなにもなかったと、その時思いました。でも、もう一回祈ろうと思います。

私に出来ることを探します。

どうか私の周りの全て人が穏やかで幸せでありますように。