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古典への誘い 〜 市川海老蔵さん

朝は伯母の七日参りのため、伯父宅へ。運転手も兼ねているので、様々な親戚を途中で拾いながら…。今日は祝日で伯父の家族も多く参列したので、いつもよりにぎやかで、従姉がカレーを作ってくれて、七日参り後にみんなで頂いた。美味しかった!
 その後、また親戚を送りながら帰った訳ですが、途中お茶を頂くことになり、立ち寄った先には、猫。大好きな猫です!嬉しい。



 この猫、実は野良猫でした。叔父が、ちょいちょい家に来る猫にご飯をあげていたら、そのまま住み着いて「チョイ」という名前になりました。チョイは、お散歩から帰ると、えらく喋る。きっと「帰ってきたよー。水飲みたいよー。あっちの通りに白い猫がいたんだよー」とか報告しているに違いない。私が行くと覚えてくれていて、必ずゴロゴロ言いながら寄って来る。かわいい♡今年で16歳。人間の年齢に換算すると90歳を超えているんだそうで、やはり随分痩せたなと思う。長生きしてほしいな。

 そしてそして!ずっと前にチケットを用意していた公演が!「古典への誘い」というもので、市川海老蔵さんの企画もの。



 能と歌舞伎の舞が一度に観られるという非常に珍しい取り組み。歌舞伎で有名な「連獅子」は、能の「石橋(しゃっきょう)」が元になっているのはご存知の方も多いと思いますが、同じ舞台で続けて観るということは全くなかったので、間近で比較してみたかったというのがありました。座席は前から2列目のほぼ真ん中。超ミーハーな感じですが、近くで顔の表情とか、様々なものを細かく観るのが常だったので、狙って取ったチケット。大正解。

 まず、ホール暗転の後、スポットライトが当たった先には海老蔵さんが…。舞台ではなく客席の最前列、舞台を背に、とっても素敵なスーツをお召しになって立っておられた。お客さん大喜び。オープニングトークと題されたものがあり、海老蔵さんと、共演の中村壱太郎さん、能の梅若紀彰さんがトークに加わり、能と歌舞伎について歴史に触れながら分かりやすく説明して下さいました。能面は、謡う時は顔に直接当たらないよう高さをつけてお面を付けるそうですが、今日の石橋は言葉を発する場面がないため、能面を顔に近く付けられるので少しは見えやすいんだそうです。でも、能面を付ける時は視野が狭くなるため、四隅の柱が距離感などの目安になっているとのこと。今日のような変形の舞台で柱がほとんどない場合は厳しいだろうなと思いました。

 まずは能からスタート。これねぇ〜、能の特徴かなぁ。昔もそう思ったんだけど、お囃子が…本当に素晴らしかった。これはもう感動でした。どの方も素晴らしかったのですが、特に印象的だったのが大鼓の亀井忠雄さん…小鼓との呼吸もぴったりで、って言うのも失礼なのかもしれないけれど、とにかく圧巻。どこまでも透き通る音が耳に残りました。忘れられないお囃子。もちろんシテもワキも本当に素晴らしくて、細やかな表現に見入りました。静かな舞の中に強さがあり、過剰な表現ではなく、お面をつけている分、顔の角度であったり、足や手、それぞれに何かを感じさせるものがあって、あっという間に時間が過ぎました。今回は後半の部分のみの半能でした。

 25分の休憩の後、いよいよ「連獅子」。実は私の横には着物を来た二人の女性が座っておられました。海老蔵さんの扇子を持っておられ、ごひいき筋なんだろうなと会話から感じ取りました…トークの際には、何度か海老蔵さんとアイコンタクトを取られたように感じましたしね。広島の方ではないようで、どうやら追いかけて来られたようです。連獅子もずーっと昔に拝見したことがありましたが、あまりに久しぶりすぎて、拍手のタイミングとか一切覚えていなかったのです。でも、着物の方が全て仕切って!?下さっていたので(笑)それについて拍手しておりました。かけ声もかけておられるほどの常連の方でした。ま、それはいいとして。
 若々しい壱太郎さんに対し、親の役である海老蔵さん。踊りはもちろん素晴らしかったのですが、谷底に突き落とした我が子が這い上がってくるまでの心の変化の表情が、とても細やかに表現されていました。そして連獅子と言えば、毛振り。最後に向かって毛振りの速さも増していくのですが、ちょっとしたハプニングが。壱太郎さんの毛が左肩に絡まってしまったのです。でも、壱太郎さんの踊りは非常に凛々しくて「子獅子」そのものでした。個人的に、壱太郎さんの無駄のないと言いますか、清潔感というか気品に溢れる踊りに目が奪われました。正直、見つめておりました。本当に素晴らしい公演だったと思います。母も大興奮。
 衣装がこれまた素晴らしかった。我々はドレスでオペラやリサイタルという設定はよくあるけれど、なんだろう、衣擦れの音がしない!なんでもないことなんだろうけど、結構大事だと思う。お囃子の音に変な現実的な音が混ざってほしくない個人的な願いが強いので、妙に感心してしまった。

 ただ残念だったのが2点。能のお囃子で、「よーっ!」という声がありますよね、独特なあれです。あれを聞いて、最前列の女性2名が爆笑していたこと。笑い声が聞こえるほどで、非常に不愉快だった。海老蔵さん見たさに来たのかもしれませんが、失礼です。私も舞台に立って演奏する側の者として、ああいうことがあったら、と思うと…爆発しそうでした。案の定、休憩時間にその女性達の隣席の男性が文句を仰っていました。当然でしょう。出て行ってほしかったくらいです。反省した様子がなかったのも残念。
 もう1点。毛振りの後、後ろを向いた時に毛の乱れを直す時に、別におかしい場面ではないのですが、笑いが起きたこと。この場面はおそらく歌舞伎座に観に行くような方にとってはスルーする場面なんだと思いますが、初めて観る方にとっては、面白い場面だったのかもしれません。でも、あの激しい毛振りの後の笑いは、ありなのか?と疑問に思ってしまいました。

 能や歌舞伎というのは大学の時に「日本音楽概論」という授業でいろいろ勉強したことがきっかけで、歌舞伎や能などを観に行ったりしていたけれど、こういう企画はこれまでに無かったので、画期的なことだと思う。歌舞伎への情熱であったり、日本の伝統芸能に対する愛着、危機感あってこそのことではないかと。そしてやはり、研ぎすまされた感性と、日々の鍛錬と、幼少期からの環境、様々なことが必要な世界だと感じた。そして…色気は必要。生きるエネルギーというか、そういうものを感じた舞台でもあったことに、すごく感動したし、いい公演を拝見したことに感謝しています。2時間くらいたったと記憶していますが、素晴らしい企画だと思う。続けて下さるといいな。壱太郎さんの今後も楽しみです。本当に品のある踊りでびっくりしました。
 帰りは母と余韻に浸りながら、ぼーっとしておりました。明日からまた頑張って働こう!と思えた。頑張るぞー。行ってよかった。

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