Generalpause

日々の出来事を思うままに、自分の言葉で…

高校時代の思い出(1)

見真学園広島音楽高等学校。今春休校となりました。1949年に創立。その事実を受け止めるには、あまりにショックで。大好きだった音高への想いを残そうと思います。長くなるので(笑)何回かに分けます。

8歳から児童合唱団で歌い、「歌うことが好きな人を増やしたい。そのためには、早い時期からの正しい音楽教育を受ける必要がある」と考え、高校受験時、周囲の猛反対を受けつつ受験したのが、広島音楽高等学校。歩いて通えるところ(片道40分)にあるのだから、行こう。という実に単純な動機。中学の先生方からは一斉に猛反対。国公立に進学して貰わないと困るという意味不明の理由。徹底して、抵抗しました。無視、です(笑)。恐ろしい中学生だ。

親から反対されるのは当たり前。私は何をしても続かない三日坊主の子供でした。唯一続いたのは合唱団で歌うこと。でも、慢性扁桃炎持ちで、体が弱かった私は、それさえ休みがちでした。体力、気力、実力、全て音高では無理、と判断した両親の反対は、ものすごかったです。親族、ご近所さえ、大反対。でも、貫きました。…私、わがままなので。

入学当初、歌うことが好き、というだけで受験したのはおそらく私だけ。その他の生徒は、みんな小さいころからきちんと音楽教育を受けていて、ドイツ音名は当たり前に言える人ばかりでした。私はそんなことは一切知らず。完全な劣等生。聴音もト音記号を書く程度で、調号が先なのか、拍子記号が先なのか、それさえ分からず。…よく入れたなと思います。

声楽の先生には、なかなか名前を覚えて頂けないほどの印象の薄い生徒。ところが、ピアノの先生は、なぜかピアノ主任。鬼と言われる(笑)先生でした。ピアノ科専門の生徒しかいないような先生。ある日この先生が、レッスン室で歌う私を発見。「この程度じゃ、どこの大学にも入れない。ピアノを鍛えて、短大の補欠にでもなんとか合格するようにしなければ」と思われたそうです。

そこからは猛特訓。まず、指の基礎練習の「ハノン」という教則本だけ持ってくるように言われ、当時習っていたツェルニー、バッハ、ソナタの本は捨てろと言われました(笑)。そこからはひたすら、指練習のレッスン。音階を4オクターヴを2往復する「スケール」のみ。この時に、根本的に何も理解していない私のために、特別な課題が。

スケールを弾く前に、調号、音階(短調の場合は旋律短音階、和声短音階も)をドイツ音名で言い、カデンツもまたドイツ音名で言って、それが正解だったら弾く…ということを繰り返しました。そのうち、平行調、同主調、属調、下属調、同主調平行調…などなど課題を出されながら、全調をひたすら弾くという1学期を過ごしました。嫌で嫌でたまらなかったけれど、それは「出来ない、分からない」から嫌だったのです。でも、1学期の実技試験の直前、試験曲を決めるのに「受験したときの曲を弾いて」と言われ、弾いてみたら、指が違う人の指のように動いて…先生の意図を理解し、ついていこうと思いました。夏休みはアルペジオのみ。そのホームレッスンにも通いました。そのおかげで、音楽理論が少しずつ分かるようになり、ドイツ音名にも抵抗がなくなり、少しずつ、みんなについていかれるようになりました。

歌は相変わらずでしたが、1年生の終わりには、聴音で満点を取れるようになり、能力別クラスでやっとAクラスに上がれました。それまでずっとBクラス。入学時はCクラスでも良かったのですが、たまたま3つくらい音が合っていたので、Bクラスになったとか…。うう。それくらい取れなかったのです。このときの楽譜が実はひどかった。ほとんどリズムがわからない。音の玉だけ、なんとなく配置していました(笑)今考えると恐ろしい。よく書いたと思いますが、何か書かないとと思って、抵抗してみたのだと思います。

聴音が取れない、とピアノの先生に言ったら「お前は楽譜が理解できていない。読めるくせに分かっていない。ただ、音は当てられる。歌っている曲を楽譜に書けるか?書けないなら、書けるまで書け。楽譜の構造がわかれば必ず取れるようになる」と仰って、その通りにしました。そしたら、全然理解できていなかったことが分かって、すごい先生だなーって。

何冊、音楽ノートを使ったか分かりません。そのうち、聴音でも、勉強方法を見付けて…それからは本当に聴音が好きになり、得意な科目になっていきました。

でもそこに至るまでは、本当に辛い毎日で、退学して他の高校に入り直そうと思ったことさえありました。ほんとに。みんながあまりに優秀で、授業に全く付いて行かれず、泣きながら通学していました。ここで退学したら、みんなから「ほれ見たことか」と言われるなーって。

ただただ、劣等感に包まれ、ダメな私、を思い知らされた1年間。でも、ピアノの先生の熱意(怖さとも言う)に押され、なんとか頑張ってみようと思った1年生でした。


続く…。

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プロフィール

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Shima
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女性
職業:
声楽家/声楽講師
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ドライブ、料理、美術館めぐり
自己紹介:
広島で活動中の声楽家です。
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