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元門下生がイタリアへ…

音高時代に教えていた元門下生が、イタリアに向けて旅立ちました。留学、です。

語学学校へ通うお金は自分でアルバイトをして貯めたそうです。立派なものです。

初めて彼女の声を聴いたのは、彼女が中学3年のとき。音高の受験講習会に来てくれて、私がたまたま担当しました。その時に、全くやったことがないとのことでしたが、耳が良く、表現したいものがある子だなと思いました。

そのまま、音高入学後、私が専科担当となり、怒涛の(笑)3年間がスタートしました。

とても感性が良く、なんとなく出来てしまうのと、ヴァイオリンを幼い頃から習っていたことが彼女の基礎なので、音感も良く、技術的なことはあまり苦労はしなかったと思います。それゆえに、やりたい事を全部詰め込んでしまい、テンポが緩くなって音楽の流れが止まったり、感情が先に出るため、発声が乱れることが多くて、その度にリセット(^^)でした。

私は、歌う基礎ができないうちから、身振り手振りで歌うことを禁じています。身体をしっかり使うようになってから、のことです。あまりバタバタ動くと、オペラに出た時、意味のない動きをしてしまうことがあるのです。とにかく、私の方針は「不要な癖はつけない」という一語に尽きます。

声はあくまでも、通る声。響きを持たせ、力で歌わない。長く歌うためには不可欠です。そして、まだ体も心も未成熟な高校生には、大学で師事する先生がご指導されやすいように、素直な歌を育てることが大切です。

とにかく、基礎です。

呼吸、歌うための準備、素直な発声、高校生らしい歌…。だって、嫌でも老けて行くのです(笑)高校生のうちは、高校生らしいのが大事です。

彼女が高校生3年の夏には、コンクールで結果を出し始めるようになりました。特にクラコンは思い出深いです。

本選に残り、全国大会の応援に行かせて頂きました。東京でお世話になった私の伴奏者に、生徒の伴奏をお願いしました。

その年だけ、とてもおかしな区分けになっていて、高校生と大学生が同じ枠で競いました。絶対に入賞は不利な状況でした。

でも、彼女特有の素晴らしい集中力を発揮しました…。大学生を抑えて、最高位に入賞。あの時の表現力は、素晴らしかったと思います。難しいアリアに挑戦しましたが、彼女の表現力を生かすにはこれしかない、と選曲しました。

その後も、神戸国際などで最優秀賞をいただき、彼女にとっても大きな自信になったのではと思います。

基本的に私はコンクールを積極的に勧めません。コンクールのためのレッスンをしなければならなくなり、基礎が崩れることもあるからです。でも、生徒がチャレンジしたいと言う気持ちがあるのなら、最大限協力します。

勝ち方があるんだなと思います。あ、コンクールのために、審査員の先生のレッスンを受けさせる方もおられますが、私は一切師事させていません。

正々堂々とチャレンジするべきと思うからです。

彼女が大学に入ってからは、私は、ただのファンです。

自分の手から離れた生徒にできることは、変わらず応援し続けることです。それはもうウザいほどに(笑)愛情を込めて。

駆け込む場所になれるよう、そっと見守っています。

生徒達は、そう、幸せと思える選択をしていると、連絡してきます(笑)後ろめたい時は、一切連絡してきません。私は卒業した生徒に、自分から積極的に連絡を取ることはしません。

新しい世界がありますからね。邪魔はしたくないですし、どんどん、素敵な方と出会って欲しい。

冷たいと思われても。

私は常々生徒達に言ってきました。幸せでいてね、と。幸せだと思える選択をして下さい、と。そしたら、人や物事のせいにしない人生を送れるから。顔を上げていられるから。頑張れるから。そして、感謝するようになるから。

正々堂々と、生きて欲しいです。笑顔で、幸せでいて欲しいと、願っています。

留学をした元門下生。元気に旅立ちました。ここまで良く頑張りました。すごいと思います。誇らしく思います。

イタリアへ行って、歌を学ぶことが辛くなる時があるかもしれません。でも、彼女にはヴァイオリンもある。最初留学のことを聞いた時に、クレモナでヴァイオリンを創る側の修行してもいいじゃん!自分でメンテナンスできるとかもいいよー!なんて言いました。半ば本気です。夢はいくつあってもいい。

歌だけに縛られることなく、イタリアへ行った意味をちゃんと見つけて来て欲しいのです。

イタリア語が話せるようになる。
美味しいパスタが作れるようになる。
美味しいピッツァが焼けるようになる。
美味しいエスプレッソを入れる。
素敵なイタリア男性と出会う(笑)

歌以外にも、人として、女性として、豊かな経験をして欲しいなと願っています。

転んでもただで起き上がるなということです。タフであって欲しい。しなやかであって欲しい。

その先に、やっぱり歌いたいと思ったならば、貫いて欲しいのです。

留学したから、歌で食べて行けるかと言えば、何の保証もないのが現実です。実際留学歴があっても、演奏家として食べて行かれる人は本当に僅かで、食べて行かれないからと普通のお仕事に就くケースが、正直、多いと思います。歌は特に、音楽家の中でも遅咲き分野ですから、待てなくなっちゃうんですよね。

歌うことを好きになってくれたらな、と切に願っています。そして、イタリアで、いろんな経験をしてきて欲しいと思っています。

頑張れ。とにかく体にだけは気をつけて頑張れ。応援するしかできないけれど、あなたなら、やり遂げると思えるのです。

行ってらっしゃい。おめでとう。私も嬉しいです。

In bocca al lupo !!!

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プロフィール

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Shima
性別:
女性
職業:
声楽家/声楽講師
趣味:
ドライブ、料理、美術館めぐり
自己紹介:
広島で活動中の声楽家です。
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